ー秋、夕暮れー

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‼こつん‼ おでこにこつん。という軽い衝撃に朝之は、眼をあける。 おでこに拳をあてたまま、ゆうきは続ける。 「ユキッテさ、本の事になると、好きだ。好きだッテ自分の気持ちを出すくせに、私のことになると、気持ちを出さないよね?」 「今の関係が壊れたらどうしよう。なんて考えると言えなかったんだ。」 「それはーッ。私もおんなじなんだょッ?それとも、ユキは私がいうまで、待つつもりだったのッ??」 「あ、でも!オレ、ちゃんと言ったじゃん!」 思わず、朝之は反論する。 「ぇー。信じられない。なんで、前田さんの前でいうかな。前田さんうらでは、なんて呼ばれてるか知ってるの?」 「ス「スピーカー前田だょッ」でしょ?」 「あッはは。ホントにユキらしいというか、なんというか、ムードの無い告白だったねッ。」 「あのさ、で好きだ。の回答は?」 「ぇー。聞こえなーい。」 秋の夕暮れに、風がスッーと吹いて二人の声が街中に消えていく。 ユキナとゆうき。の恋愛という小説は「好きだ」を序章として始まる。それがどの様な物語でどんな結末を迎えるかは書き上げる二人だけにしかわからない。
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