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「一緒にいこー。」
ゆうきからすれば、何気無い、読書友達に誘うような一言だったのかもしれない。
でも、朝之には、その言葉が何気無い一言には思えなかった。
なぜなら、朝之は、ゆうきを一人の女の子として見ていたからだ。
いたからだ。は間違いかもしれない。
「一緒にいこー。」と言われて、素直に嬉しかった。
でも、ゆうきの志望する高校は、女子だけが入学出来る場所。
ゆうきと会えなくなるな。
と、がっかりして。さみしくなった。もっと、もっとゆうきと、本の話がしたい。いや…。本だけじゃなく、日常の会話だっていいんだ。
そんなコトを、パンフレットの『男女共学』の文字をみるまで考えていたのだから。
朝之は、ゆうきを一人の女の子として見てしまった。
自分の中の小さな小さな感情。『ゆうきが好き。』という感情に気づいてしまった。
その感情に気付いてからの夏期講習。
勉強に身が入らないし、ゆうきとは、妙に意識して、なんだか恥ずかしくなったのを覚えている。
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