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ここで1つ、問題が生じる。
――理子は、年を取らないってこと。
もう480歳くらいになるかもだけど、外見は年を取っていかない。
となると、理子と生きたいと思ってくれてる高村さんは人間で…一緒に年を取れない――理子が人間じゃないことを隠し通すことは不可能。
理子は口に出すのが怖かった。
『――理子は人間じゃないの』
一体世の中に解ってくれる人はどれくらい居るだろう。
怖がらずに、理子を理子として見てくれる人はどれくらい居るだろう。
高村さんに話さなきゃ。
理子が人間じゃないことを認めてくれて…血をくれたらいいな。
吸血鬼にとって、愛する人の血は極上以外の何物でもないんだから。
――高村さんなら言ってくれるはずだよね?
――人間じゃなくても、理子は理子だから…ありのままを受け入れるよ、って。
――愛してる、って。
理子、信じてる――――…。
「吸血…鬼?」
「…今まで隠しててごめんね。理子は、血統種だから…人間と同じ生活できるよ!」
「人間じゃ、ない?」
信じられなさそうに、高村さんはゆっくりと首を振った。
そんな高村さんの腕を理子は掴んで…高村さんを覗き見た。
「理子は理子だよ…?」
不安そうな様子を読み取ったのか、高村さんは微笑を理子に向けた。
…少し、引きつってはいたけれど。
「そうだな…うん、そうだ」
微笑いながら頷く高村さんを見て、理子は安堵のため息を漏らしてから、笑顔で立ち上がる。
「ねぇ、高村さん。今日の晩御飯、何食べたい?」
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