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  「――それが幸せか不幸せかは…瑞希自身が決めることだ」 アランの言葉に理子は詰まったようだった。 視線をそらして伏せる。 「――何故、瑞希を殺そうとした」 「……ははっ。そんなの簡単でしょ。理子が瑞希を欲しかっただけ。」 ふふっと笑いながら目を伏せる理子を、アランはもう一度舌打ちをして見つめた。 「瑞希は俺のものだ」 「分かってやってるんだってば。」 低く理子は笑う。 「…どうしてこんなにも違うんだろうね。ねぇ瑞希?」 大きく首を傾げて、あたしを見つめる理子に…あたしはアランに引っ付いた。 「何が…」 「恋愛と友情を天秤にかけた時、重いのは恋愛でしょ。もしかしたら瑞希を想う気持ちはアランも理子も同じくらいじゃないかと思うのに、理不尽な感じしない?」 「――だから、理子は友達だから、あたしと理子の間に餌っていう関係は必要ないんだってば」 ぎゅっとアランの服を握る。 自分の手が汗ばんでいるのが分かった。 「アランと好きあってるなら、二人の間にも関係ないじゃん」 目を細めて言う理子を見てから、視線をそっとアランに移す。 アランは真っ直ぐ理子を見つめたままで、あたしは直ぐに視線の対象を元に戻した。 「アランとあたしは――『餌』っていう名前のついた、たった一本の糸で繋がってる。その糸が切れたら…アランとあたしの間を繋ぎ止めるものは一切ないの。だから、あたしはその糸を大切にしたい。」 アランの視線を一瞬だけ感じる。 理子はまた面白くなさそうな顔で、呆れたように鼻で笑った。
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