はじまりの色

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「水は人を誘う…    決して、      決してあの池には   近づいてはいけないよ。」 そう、唱えるように 何度も何度も 繰り返し言っていたのは、 『魔女ばぁ』だった… あたしは、幼いながらに、 必死に頭を縦に振ったのを覚えている。 家の近所に住んでいて、 いつも真っ黒な服を着ていた魔女ばぁ。 周りの子達は、 「話したらカエルにされる」 とか 「心臓を食べられちゃう」 なんて言い、 怖がって近づかないようにしてた。 でも、あたしは、 いつも いろんな話をしてくれる 魔女ばぁが大好きだった。 魔女ばぁはいつも、あたしを 「杏ちゃん 杏ちゃん」 って呼んで、 会うたびに頭を撫でてくれたんだ。 そんな魔女ばぁが、 口をすっぱくして言っていた言葉… 「裏山の池には、 決して行ってはいけないよ。」 ,
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