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さわさわと髪をさらっていく風が
まだ肌寒く感じる季節。
あたしは、
絵の具で塗ったような
真っ青の空のしたに立っていた。
目の前には、
湖に近いであろう
大きさの池が広がっており、
空の青と雲、
そして
初春の優しい日差しを
眩しいくらいに反射させている。
( 綺麗……)
あたしは、
空の上に立っているかのような錯覚に
陥りそうになりながらも、
岩に生えているコケに滑らないよう、
ゆっくりと腰をおとした。
水中がいっさい見えない池を
体を少しだけ乗り出し
恐る恐る覗きこんでみる。
すると、水面に、
自分でも子供っぽいと思う顔が、
青空をバックにして映った。
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