235人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ~あ、まさかホントに歴史に名を刻むとはなぁ」
試合会場からの帰り道、車を運転する奈々の隣で征吾は感慨深げに今日の感想を言った。
「ホンマやな。
2ヶ月前1回戦負けやったのに、それが県大会で優勝やもんな。
2位、3位にまでなったし。
誰も予想できんかったやろうな」
奈々が正直な試合の感想を言った。
「まあこれで一気に注目されるんちゃう?
ただでさえノボリが教えよるのに、短期間で結果を残したんやからの。
みんなそこそこ勝ったし、祥平もベスト8やし。
これからは追いかける側から追いかけられる側やな」
誠は今後を予想し、征吾に嬉しそうに言った。
「チキショー!」
「どうしたんや?」
突然、征吾が悔しそうに声を出したので、奈々と誠が心配する。
「俺なんか柔道を始めて5年かかって県大会3位だぞ。
優勝なんか6年半だぜ?
この差はなんなんだよ」
征吾は自分の教え子に嫉妬している。
「そうや!
俺なんか8年かかって優勝やぞ。
個人での全国は10年かかっとる」
征吾に言われて気付いた誠も悔しがる。
「征吾と先輩は子供相手に何をイジケとん」
奈々は本気で悔しそうにする征吾と誠に呆れている。
、
最初のコメントを投稿しよう!