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「寝技は完璧にできる奴が1人でもいたら嬉しいけど、
俺が全員にやらせたいのは“寝際”だよ」
「そうなんや。そのことが聞きたかったんや。
なんで寝際にこだわるん?」
誠は今日の試合中に聞きたかったことを思い出し、征吾に質問する。
「それはほとんどができないしやらないからだよ。
みんな……」
「ちょっと待って。
ネギワってなんなん?」
征吾が話を続けようとすると、話についてこれない奈々が割って入る。
「まあ寝際って言葉はないからな。
簡単だよ。
寝技に入る際ってこと。
投げた瞬間、投げられた瞬間、潰れた瞬間だな」
「あー、そっかぁ。
でもなんでそれがみんなやらんの?
ウチでも投げたらすぐに抑え込む位やっとったよ」
征吾の説明に納得しつつも、なぜ寝際が重要なのか奈々も誠と同様に理解できないのだった。
「はっ、奈々がやってたのはただ投げてからの抑え込みだよ。
近くて遠いな」
征吾は奈々の話を鼻で笑い否定する。
「うわぁ、なんかムカツクわ。
じゃあ詳しく説明してよ」
「そうやの。
ノボリがやりたいことを聞いてみたいわ」
奈々と誠は征吾に耳を傾ける。
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