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「そのことか!
ノボリでも完璧にできんって言いよったんは。
でも俺が見よる限りではノボリはできよると思うぞ」
誠は隙をついて寝技に入っていく征吾ができないという理由がわからないのだ。
「それは狙っているからだよ。
巴とかの捨て身技なんてモロ狙ってる。
狙っていてもやってない場合もあるし、投げられても守っている場合もある。
特に投げることなんかあんまないから余計に……」
最後の一言の辺りになるに連れ、征吾の声が小さくなっていく。
「俺がやりたいのは無意識にできるようにしたいんだ。
そして、できた時に俺が作りたい選手が作れる」
再び征吾は声の大きさを戻し話し始める。
「それがカワシマならできるんだ。
みんな誰にも染まってない真っ白で。
俺が見きれる位の少ない人数。
何よりも誰にも邪魔されないで俺のやりたいようにできる。
まさに俺の理想の環境だ」
征吾はカワシマこそ自分の作りたい選手が作れると考えている。
「征吾が作りたい選手ってなんなん?」
奈々は征吾のやりたいことに最も興味を持っている。
「全国チャンピオンか?
オリンピック選手か?」
誠も小学生の練習にしてはしっかりとした征吾の練習内容から奈々と同様に興味があるようだ。
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