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「だからこそ。
もし仮に、
もし仮に今、大輔とやったとしたら俺は大輔には絶対に負けられないんだ。
一緒に頑張ってきた誠を含めた仲間達の為にも、
今俺を信じて慕うクソガキどもの為にも、
今まで教わった先生達の為にも、
俺を選んだ奈々の為にも
なによりも始まりを貰った大輔の為にもな。
アイツに負けたら俺があれからなんの為に弱いながらも頑張って続けてきたのかも、復帰したのかもわからねぇ」
征吾は真剣な顔をして話す。
「征吾……」
「ノボリ……」
奈々と誠は征吾の大輔にかける強い想いをひしひしと感じ取る。
「まあ、もう大輔はいないからできないし、大輔の柔道の全てをやる奴なんていないんだからな。
仮の話だよ、仮のな」
征吾は顔を崩し、笑いながら声のトーンをあげた。
「そらそうやな。
でも俺はノボリがそこまでやる気になっとんが嬉しいわ」
大学進学以来柔道を辞めたがって征吾が柔道をやる気になったのが誠には新鮮に感じていた。
「お兄ちゃんに負けんように征吾には頑張ってもらわんとの。
選手としても先生としてもの」
奈々もやる気の征吾が嬉しいのかニコニコしている。
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