負け=勝ち

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しかし太郎はマウンドに立つなり、いきなり真面目に投球練習を始める。球場からは微笑ましい笑いが漏れる。身長150の割りには非常に速い球を投げている。 この投球練習の間、ビクトリーズの他の選手はストレッチもキャッチボールもせずに、ファンサービスを行っている。 高速サインで有名な一塁手武田は、一塁側のネット越しのファンに1秒一枚ペースでサインを次々と書き上げていく。後半何書いてるかわからないのなんかどうでもいい。 二塁手早杉は延々ベースランニングを全速力でグルグル走っている。異様なまでの速さ。 外野では3人の外野手は一見真面目にキャッチボールをしている風に見えるが、実は投げているのはソフトボール。センターの神原は特に凄く、下手からライトへ凄まじく速い球を投げている。 もうお気づきであろう。そう。これは野球ではないのだ。
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