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暖かな春の息吹きが頬を撫でる。
交差点の赤信号に立ち止まり、私の視線は空を仰いだ。
この広い空の下、見渡せば沢山の人、人、人。
そんな馬鹿みたいに沢山いる人の中、私はふとした事で誰かと関わり、時間を共有する。
その出会いから生まれるものは何か。
笑顔?思い出?どちらも大切。
でも
出会ってしまった時点で分かるものがひとつある。
それは
『僕の名前は内藤ホライゾン、ブーンって呼んでくれお!』
別れの悲しみ。
風に乗って街路樹から不思議な香りが流れてきた。
柔らかくて優しい香りは、彼の笑顔を思い出させる。
一目惚れ。
おそらくこの言葉が適しているのだろう。
あの頃はその事に自分でも気付いていなかったが。
どこがよかったと聞かれても、分からない。
見た目、性格、様々あるだろうが、どこか違う。
いまいち自分でも分からないが、しいて言うなら
彼が彼だったから、だろうか。
彼の声。
彼の話し方。
彼の器量。
彼の優しさ。
パズルのように組み合わさって出来た彼という存在が、私の心を揺さぶった。と、思う。
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