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彼に初めて会ったのは中学校に入ってから。
本当におかしな奴。
いつもニコニコ微笑んで、喋り方も変。
だから彼に友達はあまりできなかった。
そんなだから、私も素直になれずにキツく当たる。
いつも邪険に扱い、距離を置いた。
本当は違うのに。
私も笑って楽しく話したかったのに。
周りの目を気にして。
自分の居場所を気にして。
ずっとずっと距離を置いてた。
でも彼は優しく微笑んで、私に話し掛けてくる。
どんなにヒドい事を言われても、ただただ笑っていた。
それでも私は変わらない態度で彼と接した。
そんなままで二年過ごし、三年生になったある時。
どこかの誰かが流した噂。
私達が付き合ってると。
それを聞いた時の私。
全否定。本人の前で。
耳を塞ぎたくなるような言葉を彼に放った。
放ってしまった。
後悔なんて無駄だって分かってる。
それでも私は、この時の事を時々思い出して、悔しくて、歯痒くて、息苦しくなる。
クラスのみんながいる中で彼を罵倒した。
あの時の彼の顔が何度も頭を掠めた。
走り去って行く彼の後ろ姿が何度も頭を掠めた。
何度も、何度も何度も。
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