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信号が色を変えた。
私は手に持ったスーパーの袋を軽く揺らしながら道を横断する。
風にスカートを棚引かせながら、私はマンションへと歩を進めた。
階段を上がってる合間に見える夕暮れの空がとても綺麗で、とある事が浮かんだ。
彼にも見せてあげよう。
階段を昇り終えた私は自分の部屋へ行き、ドアを開ける。
「お、おかえり、ツン」
「ただいま。ねぇ、夕日が綺麗だからちょっと外出ようよ」
「お、それは名案だお。よいっしょ………と」
「あ、いいわよ。私が肩持つから」
「お?そうかお?珍しいおね」
「う、うるさいわね。たまにはいいじゃない」
「おっおw」
ベランダに出ると、そこには夕焼けに染まった大きな鱗雲が広がっていた。
「凄い………」
「綺麗だお」
「ねぇブーン」
「お?」
「私ね、さっき中学校の頃の事を思い出してたの」
「………」
「あれだけ酷い事をして、しかもブーンから右足を奪ったわ……」
「うん………」
「それなのに、こうやって私はいまだにブーンと一緒にいる………ねぇそれでも」
「それでもブーンは私の側にいてくれる?」
頬を真っ赤に染めて、俯く私。うん、頑張った。
「ツン、今日のご飯は何だお?」
「え………?今日はカレーがいいってブーンが言ったじゃない?」
全く予期してない言葉に戸惑う。
「うん、カレーだお」
「?」
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