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そして黒猫はそのまま雪の上に腰を下ろした。
赤い少女の真正面に座った彼は、口を開く。
「誰を、待ってるんですか?」
目を細めて笑う黒猫は、初対面なのに何でも見透かしたような瞳で赤い少女を見る。
赤い少女はそれに居心地の悪さは覚えず、ただ昔の友だちに会った感覚を覚えた。
しかし、それは変だと心で首を横に振り赤い少女は黒猫に返事をする。
「『誰か』がわかれば苦労はしないわ。」
笑う黒猫に、赤い少女も笑顔で返した。
キセルを加えた黒猫は左耳をぴくりと動かした後、もう一度笑う。
そして「確かに」と一言呟いた。
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