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じゃあ、と短い前置きで黒猫はもう一つ質問を投げる。
「ここがどこかはご存知ですか?」
「知らないわ」
今度は赤い少女は即答する。
それはいつも考えていたこと。
ここはどこで、自分は誰なのか。
ずっとずっと、雪がただ降るこの場所で、自分は誰を待って、何がしたいのかがわからない。
ただ、誰かに伝えるためにここにいる。
誰でも良い訳じゃない。
たった一人に、伝えたいことがある。
だから、いつか来る誰かをここで待っている。
黒猫はそんな少女を見て「そうでしょうね」と笑う。
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