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小さな子供が三人、佇んでいた。
「おい……これ、どういう事だよ、ジャッカル!」
縛られたバンダナが足元に落ちている。美少年はそれを見て、横にいる凶悪な顔をした少年に詰め寄った。
「俺に言われても分からん。まずは落ち着け、ディオラ」
凶悪な顔の少年は、見る者すべてを恐怖に陥れるような表情をしていた。子供とは思えない。
「シャルはどうなったんです~?ダヌクルは~?」
その場において、およそ不釣り合いな程の声。少女は小首を傾げていた。
「分かんねえよ、クソ!」
地面を蹴る。そうしたって意味がないのは分かっていたが、美少年はそうでもしないと怒りを抑えられなかった。
「とにかく、一旦シルフィーに戻ろう。俺達にはそれしかない」
凶悪な顔の少年は、バンダナを拾い上げた。それを美少年に渡しながら、少女に向く。
「頼むぞ、カナティア」
「了解です~」
気の抜けた声で、少女は手を振った。
すると、三人の子供は光に包まれ、消えた。
「系統魔術、転移~」
その声が辺りに虚しく響いた。
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