闇の残滓

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案の定、クラス中から「なんだよ……」「変な噂流しやがって……」などと聞こえてきた。大成功である。何事もなかったかのようにお喋りに戻るクラスメイト達は、もう噂は忘れているようだ。 エマは『変化』を解いた。すると、ペルム達が歩み寄る前に、先程の少年がエマのもとに行った。 「やあ、エマくん」 「ああ、ええと」 彼は確か、スルナという名前だったはず。 「スルナくん」 「エマくんは『変化』が使えたんだね!」 興奮した様子でスルナは言った。 確か、とエマは記憶を探る。スルナの『根源系統魔術』は『変化』だったはずだ。『変化』は『系統魔術』の中では比較的珍しいものだ。 人によって違う系統魔術には、『根源系統魔術』というものが存在する。それは人の元々の特性によるところがあり、種類は実に様々だ。根源系統魔術を習得すれば、系統魔術を扱えるようになる。根源系統魔術は、系統魔術の基本中の基本なのだ。 「ああ、僕のはまた別で」 エマの場合は根源系統魔術は『変化』ではない。それを言おうとしたが、スルナは遮って続ける。 「『変化』は自分ぐらいしか使わないと思ってたよ。現にクラスメイトで『変化』を系統魔術にするやつは少ないって言うか、いないに等しいから、寂しかったんだ。だけど、自分は今、『変化』仲間を目の当たりにしている!感動だ!」 勝手に『変化』仲間にされてしまった。
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