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『小夜子さん、大丈夫っすか!』大月さんはカサブランカをさしだすと泣きそうな顔で言った
『大袈裟だな、もう明日には店出れるんだから』
『貧血は大丈夫なんですか』と私は聞いた
『それも大丈夫しばらく薬飲んだら治るから。二人共しけた顔しないで』と小夜子さんは笑った
『あの…社長から言われました。無理するようなことあれば叱ってやれって』
『あの人心配性だからね(笑)ナイトは知ってるよね、麻美ちゃんと会社同じだし、佐伯さんは』
『はい、仕事でよく一緒になりますから。』
『あの人私のファン第一号なのよね』
小夜子さんは懐かしそうな顔で遠くを見つめた。
『高校生の時パパのお店で初めて歌ったの。アニタオデイ…彼がそれ聴いてファンになったからってチューリップの花束くれて(笑)その時からの付き合いよ。かわいいもんでしょ。付き合ってた時期もあったけど今が1番いい付き合いしてるかな』
『俺今週末ライブ入ってるんですよ。気合いいれますから。お前も見にこいよ!』
『は、はい!』
大月さんはめちゃくちゃ気合い入ってた。絶対振り向かせてやる!っていう気合いと自分達のバンドのすごさを見せてやるって気合い
すごいな、この人のパワーは…
小夜子さんの部屋をでると大月さんはポツリといった
『小夜子さん、まだ社長好きなんだな…社長も好きなんだろな』
私はなんとなく心配して駅の近くまで送った
『お前だってわかるだろ?』
『なんとなく…』
『これって失恋?』
『そんなの知りませんよ』
『ちょっと、へんな意味違うから』
大月さんはいきなり私を抱きしめてきた。『小泉、超あったけ~ぬいぐるみみたい。な?変な意味違うから』そう いって彼は駅まで走っていった
私はア然としながら立ち尽くした
私はぬいぐるみか!
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