第4章  黄泉の国

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イザナギは愛するイザナミを取り戻そうとして、地中にあると言われる死者の国である「黄泉の国」へと赴くことを決心する。 黄泉の国でイザナミのいる家屋を見つけたイザナギは、戸越しに、 「あなたと創った国はまだ完成していません。一緒に帰りましょう」 そう言うとイザナミは、 「黄泉の食べ物を口にしてしまったので、もう生き返れません。ですが、何とか黄泉神に相談してみます。そこで待っていて下さい。ですが、決して戸を開けてはなりません」 と答え、イザナギを待たせた。 しかし、いくら待ってもイザナミは出て来ない。我慢が出来なくなってしまったイザナギは、戸を開けて頭の髪飾りを取って火を灯し、中を覗いてしまう。 すると、そこにいたイザナミにはかつての美しさはなく、腐敗し蛆のわいた醜い姿だった。 これに驚き恐れをなしたイザナギは、その場から逃げ出してしまう。 醜い姿を見られたイザナミは、黄泉醜女(よもつしこめ)等の悪霊の追っ手を放ってイザナギを捕まえようとする。 イザナギは必死に数多くの追っ手と、自ら追ってきたイザナミを振り払い、ついに黄泉の国の入口である黄泉比良坂(よもつひらさか。現在の島根県東出雲町とされる)に辿り着き、千人がかりでやっと動くような大岩で入口を塞いでしまう。
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