第5章  三貴子

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黄泉の国から生還したイザナギは、体についた邪悪な穢れ(けがれ)を落とすために阿波岐原(あはきはら)へと赴き、そこの河の水で禊(みそぎ)を行う。 禊とは神事の前に神官などが水で身を清めることで、キリスト教徒が聖水で体を浄化する等、世界中に類似の行いがある。 この禊の際にもまた、多くの神々が生まれた。イザナギが衣服を脱いだ時に生まれた12神、初めて河に入った時に生まれた神など、計23柱が確認されている。 そして最後に、イザナギが左目を洗った時に、太陽の神である天照大神(あまてらすのおおみかみ・アマテラス。女神)、右目を洗った時に、月の神である月読命(つくよみのみこと・ツクヨミ。男神)、そして鼻を洗った時に、海原の神、建速須佐之男命(たてはやのすさのおのみこと・スサノオ。男神)が生まれた。 イザナギは最後に貴い3柱の神を授かったと言ってこれを喜び、アマテラスに首に着けていた珠を渡した。 そして自分に代わって、アマテラスとツクヨミに高天原を、スサノオに海原を統治するように命じた。 このようにイザナギとイザナミは多くの神々を生み出し、三貴子に国を託した。 こうした神話から、イザナギ・イザナミは相手に道を示して先導する「誘う(いざなう)」の語源であるとされる。
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