第6章  天照と月読

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アマテラスとツクヨミの2柱は当初、共同して高天原を統治していたが、ある時、アマテラスがツクヨミに対して、葦原中国に降りて、作物の神である保食神(うけもちのみかみ、女神)という神に会ってくるように命じる。 ツクヨミがその通りに地上へ降りて保食神の元を訪れると、保食神は大変に喜んだ。 そしてツクヨミを歓迎しようと、陸を向いて口から米飯を吐き出し、海を向いて魚を吐き出し、山を向いて獣を吐き出してもてなした。 ところがツクヨミはこれに怒り、 「口から出したものを食べさせるとは。汚らわしい」 そう言って保食神を剣で斬り殺してしまった。 これを知ったアマテラスが激怒し、もうツクヨミとは会いたくないと言った。 よってアマテラス(太陽神)とツクヨミ(月神)は別々に現れるようになり、「昼」と「夜」が生まれた。 その後、アマテラスは天熊人(あめのくまひと)という神を地上に遣わし、保食神を見て来るように命じた。 天熊人が地上に降りると、死んだ保食神の亡骸があった。 この時、死体の頭から牛馬、額から粟、眉から蚕、目から稗、腹から稲、陰部から麦、大豆、小豆が生まれた。 天熊人がそれらを全て持ち帰ると、アマテラスはこれは人々に必要なものだと言って喜び、作物の種とした。 ツクヨミは活躍の場面の少ない神で、これ以降は表立って登場することはない。
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