第9章  出雲神話

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八百万の神々に追放されたスサノオは、葦原中国の出雲の鳥髪山(現・船通山)に降りた。 出雲の国は現在の島根県東部のことである。 その場所では巨大な神が民を苦しめていて、神の名を八岐大蛇(ヤマタノオロチ)という。 ヤマタノオロチは8つの頭と8つの尾を持つ神で、目はホオズキのように真っ赤で、腹は血でただれ、8つの谷と8つの峰に跨がるほど巨大だったと言われている。 更に民に毎年生け贄を要求し、処女の若い娘を差し出させて喰らっていた。 そこでスサノオはヤマタノオロチを酒に酔わせて眠らせる計略を図り、剣で斬り刻んで退治した。 その時のこと、スサノオが剣でヤマタノオロチの尾を斬ると、何か硬いものに当たり、剣の刃が欠けた。 そこで尾を切り開いて中を見ると、一本の剣が埋まっていた。剣の名前を天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)という。 その名の由来は、ヤマタノオロチの頭上に常に叢雲がかかっていたことから来ている。 また、スサノオの剣が欠けてしまったことから、当時殆どの剣が青銅で出来ていたのに対し、高度な技術を必要とする鉄製の剣であったとされている。 これが後の草薙の剣であり、三種の神器の最後の1つである。スサノオはこれをアマテラスに献上した。
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