ドロボウ

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高1の初夏 アレは一世一代の大仕事だった 確か虎ノ門にたたずむ3階建ての一軒家から金銀財宝を運び出しまくったな さすが一等地の一戸建てだけのことはあって、骨董品やらが腐るほどあったぜケケケ という訳で引っ越しのバイトをしてました 当時、僕は友人と派遣のバイトをしていました その日は僕と友人の初出勤 派遣である僕達は引っ越し屋さんと合流したら 「合流しました」 と会社にメールを送らなければなりません 友人がメール打ってたら突如弾け飛ぶケータイ 引っ越し屋さんにケータイをチョップされました 「仕事はもう始まってんだよ!!ケータイなんかいじってんじゃねえ!!」 高校生だった僕らは仕事の厳しさを垣間見ました その後その引っ越し屋さんは2階でタンスを運ぶ直前に 「もしもし!合コン?今、仕事してるか…え!?相手ナース!?全力で行くわ!」 って電話してました チョップしていいですか? とりあえず昼になったので少し休憩 しかし僕達は昼には終わると思っていて飲み物ぐらいしか手元にはありません 「水って…0カロリーなんだ…」 ってあの日気付きました 当然ながら満たされぬ腹 気付いたら引っ越し先の冷蔵庫の前に僕と友人は立っていました 背に腹は変えられません 水で腹は満たせません そこから記憶がないのですが、何故か僕達は満腹になっていました ひと夏の素敵なファンタジーですね そして午後の部開始直前に引っ越し屋さんからのレクチャー 「引っ越しってのは人の物をどれだけ大切に出来るかが大事なんだ!」 ってさっき人のケータイをチョップしてきた優しい引っ越し屋さんに言われました それから数時間後に引っ越しが終了 なんと依頼主のオジサマが僕達にご祝儀をくれるそうです しかし僕達はアナタの冷蔵庫の前で無断で何か法律違反的なことをしたかもしれないクズです このバイトで満たすのはサイフだけのはずだったのに 食欲まで満たしてしまったんです とてもご祝儀なんて受けとれません 「あぁぁぁーざぁぁっす!」 受け取りました
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