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そしていつもどおり、銃の音が響くはずだった。
一発で、殺すつもりだった。
「っ……」
それなのに、私の銃を持つ手は震えていた。
どうしてだろうか。
いままで、こんなことなかったのに。
冷や汗が流れる。
そしていつの間にか、疑問は恐怖に変わっていった。
怖い。殺したくなんてない……。
理由は分からないが、銃の引き金がどうしても引けない。
「……撃つのか?」
ナツメがそう訊いてきたが、私は動かなかった。
いや、動けなかった。
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