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私は震えながら、ナツメに訊いた。
「どうして、こんなに近づくの? どうして……撃てって言うの?」
ナツメは黙ったまま、ただ私を見据える。
ああ、殺さなければならない相手と、こんな風に色々話すのは初めてだ。
感情なんて捨てなければならないのに。殺さなければ、殺されるというのに。
私がじっとナツメを見つめると、ナツメはただ一言だけこういった。
「だって……みつるがそんなことするやつじゃない、そう思ってるからだよ」
まっすぐに、その言葉は響いた。そしてその瞬間、私の中では二つの感情が葛藤した。
命令……殺さなければ殺される………。
私は銃を構えた。
カチャ、と言う音が響く。
でも、殺したくない……。
でも、そう思っては躊躇してしまう。
「……よし」
私は散々悩んだ末に、一つの行動に移した。
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