-序章- 月が昇る
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ナツメの手を引っ張って、走り出したのである。 「ここから逃げよう」 命令なんて、関係なかった。 命令からそむいたものは、見つかったが最期、殺される。 そんなことすら考えさせなかった。きっと、ナツメを助けたいが一心なのだろう。 「ちょっ……ちょっと、おい!」 とにかく走って、走った。 ナツメが何を叫ぼうと、私は必死で走り続けた。
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