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やっとみつるが止まった。
そこは河川敷で、月の光が川に反射している。
あの美術館からどれほど離れているのだろう。
俺はそう思いつつ、みつるのほうを向いた。
「みつる……?」
――みつるは声をあげずに泣いていた。
「どうしたんだよっ!?」
みつるは泣きながらも、精一杯の笑顔を見せてくれた。
それはあまりにも綺麗だった。
「……ごめん、怖い思いさせてしまったよね」
そしてみつるは語り始めた。
自分が殺し屋の家系に生まれたこと。
ずっと人殺しをしていたこと。
そして………俺を殺す命令が入ったこと。
「それでね、命令に逆らったものは………殺されてしまうの」
俺は愕然とした。
みつるが……殺されるのか? 俺たった一人のためだけに。
月はいよいよ光を増して、みつるの涙がきらきらと輝いて。
それはまるで、宝石のようだ。
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