‐Ⅰ‐ 逃亡

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やっとみつるが止まった。 そこは河川敷で、月の光が川に反射している。 あの美術館からどれほど離れているのだろう。 俺はそう思いつつ、みつるのほうを向いた。 「みつる……?」 ――みつるは声をあげずに泣いていた。 「どうしたんだよっ!?」 みつるは泣きながらも、精一杯の笑顔を見せてくれた。 それはあまりにも綺麗だった。 「……ごめん、怖い思いさせてしまったよね」 そしてみつるは語り始めた。 自分が殺し屋の家系に生まれたこと。 ずっと人殺しをしていたこと。 そして………俺を殺す命令が入ったこと。 「それでね、命令に逆らったものは………殺されてしまうの」 俺は愕然とした。 みつるが……殺されるのか? 俺たった一人のためだけに。 月はいよいよ光を増して、みつるの涙がきらきらと輝いて。 それはまるで、宝石のようだ。
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