-序章- 月が昇る

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夜。満月が高く昇る頃。 私は屋根の上に立っていた。 黒のワンピースに、白のボレロを着て……そして、手には愛用の銃が握られていた。 「ターゲット確認……」 そして、遠くから狙う。 明確に…的確に、頭をしっかりと捉える。 「……じゃあね。バイバイ」 そう一言だけ言うと、私は引き金を迷うことなく引いた。 ――パァン……。 軽やかな音とともに、安堂 幸太郎は血を吐いて倒れた。 これが私の仕事であり、家業であった。 ――私は「殺し屋」。 依頼を受けて人を殺す。 それが毎夜毎夜の仕事だった。
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