37人が本棚に入れています
本棚に追加
そいつの真っ黒なマントの隙間から、きらりと光るものがあった。
なんなのだろうか。
「だ、誰だよお前……」
しかしそいつは、挨拶代わりに光る何かを取り出した。
――スパッ!!
凄い勢いで、一本のナイフが飛んだ。
そいつは深々とお辞儀をして、自己紹介を始めた。ナイフを投げてきたくせに。
「これは申し送れました。僕の名前はランチェル……と覚えてくれれば結構ですよ」
ランチェルはニコニコしている。到底、さっき瞬間的にナイフを投げたやつとは、同一人物だと思えない。
そのギャップの激しさに、頭の中はパニックに陥る。
ランチェル……まさか、みつるを殺しに来たのか?
と、ランチェルはマントを翻して、近づいてきた。
俺はとっさに後ずさりをして、次の攻撃に構えた。
「まあ、素質はあるようですね……僕の弟子にでもなりませんか?」
いったい何を言い出すんだろうか。
訳の分からない状況に、俺はただ、頷いて聞くしかなかった。
最初のコメントを投稿しよう!