‐Ⅰ‐ 逃亡

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ランチェルは相変わらず、感情のこもっていない声で言う。 「あなたが持っている素質、殺し屋になる……人を殺す素質です」 瞬間的に頭が真っ白になった。 突然の一言に、唖然としてしまった。 「何言ってんだ……」 そう言ったとたん、俺の頬を何かが切り裂いた。 そのそばでは、ランチェルが数本、鋭いナイフを指に挟んでいる。 きっと、また投げたのだ。 「生易しいな……その程度で、守れるのか」 ……みつるを、守れと言うのか。 俺は敵が目の前にいるのに、ふとみつるの笑顔を思い出した。 マイペースでのんきな、あの宝石のような微笑を。
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