‐Ⅰ‐ 逃亡

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暖かな、あの微笑みを壊す日が来るのだろうか……自分のせいで。守りきれない、自分の弱さで。 そんなのは嫌だ。 ランチェルは言った。 「……守れ。その場にあるもの全てを。お前はだから弱いんだ……」 だから。 その言葉を訊いて、びっくりした。 「まさか……俺のこと、知ってるのか?」 ランチェルは、失言をした……そう思ったかのごとく、ふいと横を向いて一言だけ言った。 「……どうしますか?」 俺は二つの選択を迫られたのだと、そう感じた。 一つはみつるに守られること。 もう一つは俺がみつるを守ること。 だが、迷いなんてなかった。 ……俺はこれから先、守られて生きてゆくのか。嫌に決まってるだろ。 そして俺は言った。 「ああ、その話……のったよ」 俺はランチェルの弟子になって、みつるを守ることを選んだのだった。
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