‐Ⅱ‐ 殺人

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私は、怖かった。 ナツメが私のように、血にまみれて穢れてゆくことが。 たとえ強盗犯だとしても、人を殺したことはきっとないのだろう。 見て分かる。 あんな純粋な目をしているのだから。 「……もしものことがあったら、私がしっかりしないと」 私は不安に駆られながら、眠りについた。 次の日。 私たちはまた、遠くへと逃げ出した。 走って、走って……。 いつまで走り続ければいいんだろうってほど、走り続けた。 この運命の終わりは、どこだろう……そんなこと考えていても、答えが見つかるわけではない。 ただひたすら、先へ進むしかないのだ。 物思いに耽っていると、ナツメががっくりとその場に座り込んだ。 疲れが、祟ったのだろう。 「大丈夫……?」 私のせいでこんなことになっているのに、ナツメは気を使って、そう言わない。 ただただ、足を擦ってはこう言うのだった。 「疲れたな……」 私はナツメに肩を貸し、ゆっくりと歩き始めた。 まっすぐ、まっすぐ西にへと。 いつの間にやら辺境の、知らない土地へと来ていた。 ――そこに、あいつがきたのだった。 「はろ~……バカなやつら」 見上げると、一人の人が手を振って立っていた。 肩にかかる長い髪の毛を振り払い、そいつは私たちのほうを見た。 ……危ない。 そう直感で、感じ取れた。 顔は笑っているのに、目は冷酷な目をしている。 そう。殺し屋の目だ。 固まって動けない私に、そいつは、手を振りながら近づいてきた。
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