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私は、怖かった。
ナツメが私のように、血にまみれて穢れてゆくことが。
たとえ強盗犯だとしても、人を殺したことはきっとないのだろう。
見て分かる。
あんな純粋な目をしているのだから。
「……もしものことがあったら、私がしっかりしないと」
私は不安に駆られながら、眠りについた。
次の日。
私たちはまた、遠くへと逃げ出した。
走って、走って……。
いつまで走り続ければいいんだろうってほど、走り続けた。
この運命の終わりは、どこだろう……そんなこと考えていても、答えが見つかるわけではない。
ただひたすら、先へ進むしかないのだ。
物思いに耽っていると、ナツメががっくりとその場に座り込んだ。
疲れが、祟ったのだろう。
「大丈夫……?」
私のせいでこんなことになっているのに、ナツメは気を使って、そう言わない。
ただただ、足を擦ってはこう言うのだった。
「疲れたな……」
私はナツメに肩を貸し、ゆっくりと歩き始めた。
まっすぐ、まっすぐ西にへと。
いつの間にやら辺境の、知らない土地へと来ていた。
――そこに、あいつがきたのだった。
「はろ~……バカなやつら」
見上げると、一人の人が手を振って立っていた。
肩にかかる長い髪の毛を振り払い、そいつは私たちのほうを見た。
……危ない。
そう直感で、感じ取れた。
顔は笑っているのに、目は冷酷な目をしている。
そう。殺し屋の目だ。
固まって動けない私に、そいつは、手を振りながら近づいてきた。
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