-序章- 月が昇る

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一方、ナツメも足音を聞いていた。 コツ…コツ……コツ……… 近づいてくる。 足音の軽やかさ、かからない体重。きっと少女……くらいか。 コツ…コツ……コツ……… 俺はゆっくりと近づいていく。 ――俺の両親は、強盗犯。 だからか、俺もいつのまにやら業を覚えた。 それが今役立っているのだが、それでも分からなかった。 俺を殺すために、その少女が近づいていることを。 「よし、行くか」 俺は足音が聞こえるほうへ、走っていった。
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