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「トリック オア トリート!」
薄闇の中に子供たちの声が響きます。
今日は年に一度だけ、いつもは口うるさく杖を振り回す、生地屋のミセス・コーニッシュも笑顔であめ玉をくれる日。
「はいはい、良く来たね、小さなドラキュラ伯爵に…こっちはカボチャお化けかい?」
そう言って大きな空き缶にたっぷり入ったあめ玉を一掴みずつ、みんなのバスケットに入れていく。
「まあ可愛い魔女だこと」
「ママが作ってくれたのよ!」
「ご存じさね、上手くできてると伝えておあげ」
ミセス・コーニッシュは人差し指を立てて、ポケットからビスケットを取り出して中に入れた。
小さな魔女ははにかみながら首を竦めます。
「ほら、もうお行き」
ミセス・コーニッシュに軽く肩を叩かれて小さな魔女は走ります。
その後に続いていた、ボロボロのシーツお化けを置いて、彼女は走りました。
「アンタんとこは、今年も酷いこと」
ミセス・コーニッシュは屈んで、シーツお化けの頭を撫でます。
そして、玄関に置いてあった大きなバスケットをシーツお化けに手渡すのです。
「ブドウパンは朝にお食べ、ブラウニーはね、日持ちがするからね?」
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