きれいな石の恋人

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彼とは、幼なじみですが、付き合い始めてから3ヵ月になります。 少し無口だけど、美しく、穏やかに笑う彼。 私の知らない国の歌をよく私に歌ってくれる彼。 私は、彼を心から愛しています。 でもね、ある日気づいてしまったの。 それは、いつものように彼と緩やかに流れる幸せな時間を過ごしていた夕闇の中。 ふと、私は彼に意地悪したくなって、こう聞きました。 「私、貴方の事が好きよ。貴方は、私の事好き?」 すると、相変わらず何も言わない彼の頬から、ぱらりと何かが落ちたのです。 広いあげると、それは綺麗な薄い雲母(うんも)でした。 初めは、彼の頬に何故こんなものがついていたのだろうと、疑問に思いました。 「ねぇ、私の事好き?」 しかしそんな疑問も、彼から聞き出したい言葉への思いで後回しにし、もう一度、彼にそう聞いたのです。
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