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そう思うと、彼への私の気持ちが、何だか不純なものに感じられました。
それが無性に悲しくて、無意識にも涙が溢れたのです。
ーーーぱらっーーー
彼の雲母はまた一枚剥がれ、いつもなら流れるようにきれいな動作を見せる彼が、ぎこちない動きで私を抱きしめました。
「それでも…私は、貴方の事が好きよ…。」
翡翠の鳴る音がしました。
次の日でした。
彼と楽しく過ごしている私の家に、不思議な男がやって来たのは。
男は白い蛇を連れていて、整った顔に、それなのに何故か気味が悪いと感じてしまうのは、蛇と同じような目が赤黒くギラギラ光っていたからでした。
「あの、どなたですか…?」
不審がっている私に男は、恭しく一礼すると、ニヤリと笑いました。
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