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「はぁ、またか。」
そうため息をつく俺を、コイツはどう思っているのだろうか。
嬉しそうにぱたぱた尻尾を振って、玄関の前で座っているこの小さな犬。
もう、これで13回目だ。
うんざりしながらコイツを自転車のカゴに入れてストッパーを蹴り、昨日と同じ道を走り出した。
「…ずいぶん楽しそうじゃねぇか。」
俺がそう皮肉混じりに話しかけてやると、犬は元気に吠えた。
時々、コイツは俺の言葉がわかるんじゃないかと思う時がある。
嬉しそうにカゴに収まる犬の背中を見ているウチに、だんだん苛立ってきて、俺は自転車を漕ぐことだけに集中した。
俺は今から、コイツを捨てに行く。
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