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赤く染まった空。
白いコイツの体が同じ色になった頃。
俺はいつもの河原に、犬を捨てた。
最初に捨てた時に使ったダンボールの中に犬を入れ、「もう帰ってくんなよ。」と念を押してその場を去った。
ーーー多分、コイツはまた帰ってくるのだろうけど。
初めてアイツを捨てた日。
結婚を決めた日。
家内がどうしても犬は嫌だと言って、さんざん話し合った結果、アイツを捨てる事にした。
その時、アイツは今より綺麗な白い体を持っていて、今みたいにぱたぱた尻尾を振っていた。
その日は悲しくて仕方なかった。
何度も謝り、あの河原に置き去りにしてきた。
「ゴメンな…。ゴメンな…。」
帰り道は泣いてばかりいた。自転車を漕ぐ足を何度も止め、涙を拭ってはまた漕ぎ始めた。
そう、それがアイツを初めて捨てた日。
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