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思うに、アイツは俺のところに来る事だけを楽しみに、俺の家の前まで歩いて来ているのではないか。
だから俺も、アイツをいつもと同じ場所に捨てに行くのではないか。
子どもが歩いて行くには少し難しい距離を、アイツは毎日四つの足で歩いて来る。
ただ、俺に会いたくて。
俺に…。
「フッ…自惚れもいいところだな。」
そう自嘲してから、コイツを捨てるのに迷いはなくなった。
自転車を漕いで、コイツを捨てる。
その繰り返し。
その間中、アイツはいつも嬉しそうで、寂しそうに俺の背中を見ている。
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