六花の舞う頃に

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「菜々。子供の名前というものはだな、両親がいろい…」 私が口を開くより先に、子供の名前がいかに重要なものか、佐野さんが語りだしてしまった。  昔から礼儀やしきたり云々には厳しい人だが、最近は更に頑なで、語るコトも増えた気がする。  やはり私の父親世代なのだなぁと、こういう時は思ってしまう。  「また始まった…」 うんざりした顔で、菜々さんは勝手に紅茶を取り、一つを私に渡した。  ちゃんとミルク入りを選んでくれる。  私はそんな些細なことに嬉しくなり、微笑みがこぼれた。  「菜々さん、名前、何を考えていたんですか?」 佐野さんに聞こえないように、小さな声で菜々さんに尋ねる。  菜々さんも小声でささやいた。
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