2263人が本棚に入れています
本棚に追加
「菜々。子供の名前というものはだな、両親がいろい…」
私が口を開くより先に、子供の名前がいかに重要なものか、佐野さんが語りだしてしまった。
昔から礼儀やしきたり云々には厳しい人だが、最近は更に頑なで、語るコトも増えた気がする。
やはり私の父親世代なのだなぁと、こういう時は思ってしまう。
「また始まった…」
うんざりした顔で、菜々さんは勝手に紅茶を取り、一つを私に渡した。
ちゃんとミルク入りを選んでくれる。
私はそんな些細なことに嬉しくなり、微笑みがこぼれた。
「菜々さん、名前、何を考えていたんですか?」
佐野さんに聞こえないように、小さな声で菜々さんに尋ねる。
菜々さんも小声でささやいた。
最初のコメントを投稿しよう!