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何となく外を見ていた俺が目にしたのは、空からゆっくりと降りてくる少女だった。
またスパイか暗殺者だと思い、少女が降りたと思われる地点へと急いだ。
この時代、ボックスとリングさえあれば、空から来るなんて珍しくも何ともない。
まぁ、スパイや暗殺者ごときになんてやられないけど。
中間地点でちょうど会う形になり、改めて少女を見た。
顔立ちは可愛い系で、スタイルも悪くはない。
ただ、気になったのは俺を見ても殺気がないこと。
むしろ、怯えていた。
とにかく、敵ファミリーではないみたいだし、行くとこもないようだから、屋敷に連れて行った。
そこで2・3問質問をして、はっきりわかったのは、敵でもなければ、マフィアでもないただの普通の少女だということ。
メイドとして雇おうと思い、幹部を呼び寄せた。
やっぱり隼人は文句が多いし、怒鳴るし。
雲雀さんに至っては、「強いの」なんて聞いてるし。
呆れかえってなにもいえない。
ふと、骸が少女――ゆいに向かって「大丈夫ですか?」と聞くのが聞こえ、見てみると体が震えていた。
それでも、平気だ、と答えるゆいに骸が体が震えていると指摘すると、ゆいは怯えて部屋の隅に行き、縮こまっていた。
声をかけようとすると、ほんとに小さな声で、謝っていた。
何も出来ずに、立ちつくしてしまう。
それは、他の幹部も一緒で。
しばらくしてゆいは意識を失い倒れてしまった。
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