―壱―

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「フォウン兄ちゃん大丈夫?」 子供達が心配そうに檻から運び出され、担架に乗せられたフォウンの周りに集まる。フォウンは、未だ意識を失っているようだ。ティナは子供達に諭す様に言った。 「大丈夫よ、怪我のショックで気を失っているから。治療のためにも教会へ連れて行くけど、何時でも会いにいらっしゃい」 「うん……寂しいけど分かった。絶対フォウン兄ちゃんの怪我治してね!!」 「もちろんよ」 そう言うと子供達は、先に運ばれていったフォウンを追い掛けて行った。 それと同じくらいのタイミングで教室に閉じ込められていた教師の一人がティナに話し掛けてきた。 「すみません 私達が不甲斐無いばかりに……」 「いえ、お気になさらないでください。」 「もっと早くあいつの存在に気が付いていればこんな事にはならなかったんですから…」 「終わったことを悔いても仕方ありませんわ」 「……そうですね」 「先生がそんなではいけません。子供達が不安がるだけですわ。後悔ばかりしていても仕方ありません。子供達を少しでも安心させてあげられるようにお願いしますわ」 「……えぇ、そうですね」 先生の目から後悔の色が消えた。ティナは「その意気ですわ」とにっこりと微笑んだ。 「お取り込み中すいません。リドー先生、こちらにお願いします」 ティナと話していた先生は軽く会釈をして呼ばれた方に走っていった。その後ろ姿を見ていたティナの隣にサザラが並ぶ。 「あのおっさん、軍に引き渡すって」 「そう」 「しばらくは檻の中から出てこれないから大丈夫だよ」 「ええ」 「檻に閉じ込めてた奴が今度は自分が檻に閉じ込められるだなんてお笑いだよねー」 「ふふ、確かに」 「さて、ボク達はフォウンお兄ちゃんを連れて教会に帰りますか」 「そうね、あの子達のためにも早く帰ってフォウンさんを治療しなきゃね」
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