―壱―

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マルク達に別れを告げ、教会に帰ってきた2人はミリアの元へ歩いている。フォウンは他の修道士達にお願いして治療が始められている。 空を見ればもうじき暗い夜を迎えようと日が西に傾いている。別れ際の子供達の様子を思い出しながらティナは言った。 「フォウンさんは本当に子供達に好かれているのね」 「そうだね。子供達からあれ程好かれる人はなかなかいないよ」 「子供って言うのは結構人を――特に大人を見ているものだから、本当に良い人にしか懐かないものね」 「そんな人をあんなにボロボロになるまで追い詰めるなんて、とんでもない外道だなアイツ」 「一人でもあんな人が減ればいいのだけれど」 「大丈夫。少なくともここにはそんなやつ入れさせない。入ったとしても、誰も傷付けさせないから」 「サザラちゃん…。」 「そう言えば、フォウンさんの傷の具合はどうなの?」 「全身傷だらけで、見ているだけでこっちが痛くなってきそうだったわ。」 「そう」 「特に酷いのは手の刺し傷。貫いたところを捻り抜いたみたいで、そこが一番治りが遅いみたい」 「うーそれは痛い!」
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