―壱―

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話しながらだんだんミリアの部屋に近付いていくと目の前に眼鏡を掛けた若い修道士が立ち塞がった。 「ミリア様は来客中だ。静かにしろ」 眼鏡の位置を直しながら高圧的に言い放つ。 「相変わらず高圧的な態度だね そう言うのって疲れない?ガラン」 立ち塞がった修道士―ガランにサザラは少々呆れ気味に言う。その一言に腹を立て突っ掛かかる。 「誰が高圧的だって?事実を告げているだけで、なぜそんな風に言われなければならんのだ 全く以って不愉快だ」 「何だよ。こっちだって事実を言っただけだ」 ガランの一言にサザラも腹を立て、2人の間に不穏な空気が流れる。ティナは「あらあら」といつもの言い争いを眺める。 2人はどうも反りが合わず、出会っては言い争うを毎度繰り返している。ティナや教会の人々はそれに慣れているため呆れながらも見守ることが暗黙の了解になっていた。 「何の何処が高圧的だって?」 「アンタの態度全部が高圧的だよ!」 「ふん、馬鹿も休み休み言え。俺がいつそんな態度をとった。」 「今まさにだよ!」 「二人共そろそろ―」 二人の言い争いをそろそろティナが止めようとしたその瞬間 どおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん 低く鈍い爆発音が辺りに響く。何処からか悲鳴も聞こえる。サザラは窓から外を見るが爆発が起きたのは窓から見えない場所らしく状況がつかめない。 「ミリア様っ!!」 サザラが動き出すのと同じくガランが何かを悟ったようにミリアの部屋の扉を開いただが、其処にはミリアは居なかった。 その代わりに煙が立ち込め、室内にポッカリと外へと通じた大穴が空いていた。
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