―壱―

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青空の下、草原を元気に走り回る子供達。 「待てぇ!」 「きゃーっ!オニが来たぁ!」 「タッチ!」 「あーあ、タッチされちゃったっ。」 「じゃあ、今度はエリスちゃんがオニね!」 「逃げろぉ~。」 「きゃーっ!」 子供達は鬼ごっこをしているようで、蜘蛛の子散らしたように逃げ出した。 ここは、教会兼修道院兼孤児院。神父もいれば修道女も居るし身寄りの無い子供も居る。 1つの巨大な施設と言って過言ではないだろう。 鬼ごっこをして遊んでいる子供達はここに住んでいる孤児なのだ。 「捕まえるぞぉ!」 「オニさんこちら手のなる方へ!」 「待てぇ!」 元気に走り回る子供達。其処に、若い修道女がやって来た。 「サザラちゃんいるかしら?」 「あっ!ティナお姉ちゃんだ!」 「ホントだぁ!」 「サザラお姉ぇちゃぁんっ!ティナお姉ちゃん来たよぉ!」 子供達が大きな木に向かって叫ぶ。 「んー、ありがと!今行く。」 木の上から声がした。その木からするりと滑り降りて来たのは、活発そうな若い女。名前はサザラ。ティナと呼ばれた修道女が探していた人物だ。 「どーしたの?」 サザラがティナに近付くと、呼ばれた理由を尋ねた。 「ミリア様がお呼びよ。」 「なんで?」 「分からないけど……取り敢えず来てくれる?」 「もちろん!」2人は子供達と別れ、ミリアの元へ向かった。
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