―壱―

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「シスター、フォウンお兄ちゃん助かるの?」 少女がティナ問い掛ける。ティナはしゃがみ、微笑みながら少女の頭を撫でると、 「大丈夫よ、危ないから離れていてね。」 と安心させるように言った。少女は「うんっ!」と言うとティナから離れた。ティナは立ち上がるとサザラに問い掛けた。 「どう、この檻壊せそう?」 「壊すものをちゃんと指定すれば壊せるよ。」 「出来るのね!」 「でも、このままだと崩れたコンクリの破片が彼に直撃しちゃうんだ。」 「それなら私が魔法を使えば問題無いわ。」 「うん!じゃあ、お願いね!」 サザラはフォウンの囚われている檻にすいすい登るとチョークセットを取り出し、その中の1本でさらさらと文字と魔方陣を書き出した。サザラが書き出したのを見てティナは、魔法を発動させるため呪文を呟く。 「「主よ、彼の者を護りたまえ」」 「ティナ!準備は良い?」 サザラが問い掛けるとティナは大きく頷く。頷くのを確認するとサザラは檻の上から飛び降り指を鳴らした。すると、がらがらと音を立てながらフォウンを避ける様に檻が崩れた。
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