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季節は冬…学生は卒業の季節が迫ってきていた。
進路ももうクラスのほとんどが決まっている。
「千尋はどうして進路決めないの??あんたならどこにでも行けるのに」
窓の外には雪が降っている静かな放課後の教室で、前田早苗は千尋に問いかけた。
前田早苗はクラス1活発で元気な子。母親に切りすぎられたと嘆いていたおかっぱ髪が特徴の女の子。
「う~ん…まだ自分がどうしたいのかはっきり決まらないんだ」
そう言って机の上の鞄に顔を埋める。
前田早苗はやれやれと首を横にふる。
「あ~ぁっあたしが千尋なら、う~んといい高校行ってさ、頭のいいイケメン君と恋に落ちて、ゆくゆくは玉の輿結婚っ!…って簡単に決めれるのにぃっ」
そう言って、ぶぅっと早苗は唇を尖らせる。
「…そんな簡単な話しあるわけないじゃない…」
顔を埋めたまま千尋が答える。
「だから~″約束のきみ″なんか待ってないで現実を生きたらって言ってんのっ」
千尋は以前早苗に「なんでそんなに頑張れるのよ~」と言われた時、
「…また会おうねって約束した人がいるから。その人に会った時に恥ずかしくない自分でありたいの。」
そう答えていた。
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