① 5年後 ~約束~

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季節は冬…学生は卒業の季節が迫ってきていた。 進路ももうクラスのほとんどが決まっている。 「千尋はどうして進路決めないの??あんたならどこにでも行けるのに」 窓の外には雪が降っている静かな放課後の教室で、前田早苗は千尋に問いかけた。 前田早苗はクラス1活発で元気な子。母親に切りすぎられたと嘆いていたおかっぱ髪が特徴の女の子。 「う~ん…まだ自分がどうしたいのかはっきり決まらないんだ」 そう言って机の上の鞄に顔を埋める。 前田早苗はやれやれと首を横にふる。 「あ~ぁっあたしが千尋なら、う~んといい高校行ってさ、頭のいいイケメン君と恋に落ちて、ゆくゆくは玉の輿結婚っ!…って簡単に決めれるのにぃっ」 そう言って、ぶぅっと早苗は唇を尖らせる。 「…そんな簡単な話しあるわけないじゃない…」 顔を埋めたまま千尋が答える。 「だから~″約束のきみ″なんか待ってないで現実を生きたらって言ってんのっ」 千尋は以前早苗に「なんでそんなに頑張れるのよ~」と言われた時、 「…また会おうねって約束した人がいるから。その人に会った時に恥ずかしくない自分でありたいの。」 そう答えていた。
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