2237人が本棚に入れています
本棚に追加
/803ページ
ニューヨークの中心にあるホテルの一室で、クローディアはベッドに腰掛けていた。
ニノミヤはチョコレートを買いに街に出ていて、今は一人。
不思議、逃げ出そうとは思わなかった。
ただ、暇……といえばいいのだろうか。
やる事が無くて困っていた。
もう見慣れた窓の外を見る。
ここから見える四角の空間が好きだ。
夕暮れに“彼女”の微笑みが染まり、母に包まれるような優しい感覚に陥る。
母なんて知らないけれど。
「テレビ……」
パチンと音がして黒い画面が明るくなり、金髪の男性が何かを話している。
少しだけ生えたヒゲが博士に似ていた。
どうという訳でもなく、ぼーっとテレビを見ていた。
「チョコレートが食べたいです」
コンコン
ドアが鳴った。
ニノミヤ?
コンコン
鍵はかかっていないはずですよ。
コンコン
わかりました。今開けます。
クローディアがドアを開けたのと、顔を真っ白な布が覆ったのは同時。
全てわからなくなったのも、同時だった。
最初のコメントを投稿しよう!